AIの判定基準をプロンプトごとに書かず、憲章から差し込む
今回やったこと
複数の生成・判定プロンプトに散らばっていた党派ラベルを取り除き、基準の正本を憲章ファイルへ集約した。対象は、コメントを選ぶ処理と、その選定結果を判定する処理である。特定の媒体名や政治的な立場を説明する記事ではなく、判定ルールの置き場所と変更方法を扱う。
変更前は、プロンプトの冒頭に「右派寄り」「左翼的なコメントは drop」といった文言が直接書かれていた。例外が見つかるたびに個別のプロンプトへ例外を追加する形になり、同じ基準を複数箇所で保守する状態だった。党派を基準にしないという考え方を、各プロンプトで別々に維持する設計には無理がある。
ルールを一箇所に置く
生成側の処理は憲章ファイルを外部から読み込み、生成時の指示へ差し込む。ファイルが利用できない場合に備えて、予備の定義も持たせている。選定側の文章と判定側の文章は別の仕事をするが、媒体の基本方針をそれぞれのプロンプトに複製しない構造にした。
一方、判定側の処理には党派ではなく「面白いか」を判定の軸にすることが書かれている。ここで重要なのは、選定用のプロンプトから言葉を消すだけで終わらせず、後段の判定基準にも同じ意図が反映されていることだ。生成と判定が異なるルールを参照すると、前段で除いた偏りを後段が再び持ち込む可能性がある。
憲章ファイル
├─ 生成プロンプトへ差し込む
└─ 判定プロンプトは同じ方針を明示
変更の流れを短くする
基準が一箇所にまとまると、修正箇所を探す範囲が狭くなる。個々のプロンプトを書き換える運用では、修正の漏れや古い文言の残存を確認する必要がある。正本を編集すれば関連する生成処理に反映される形なら、方針の更新と実際の挙動が結びつく。
ただし、正本を一つにしただけで判断の品質が保証されるわけではない。差し込み処理が動いているか、生成側と判定側で意味が食い違っていないかは、コードと出力の両方を確認する必要がある。憲章が読めないときの fallback がある場合も、その内容が正本と乖離していないかが保守点になる。ここは自動テストや定期的な照合で検出できるようにするのがよい。
適用できる場面と限界
この設計が向くのは、同じ判断基準を複数のプロンプトや処理段階で使う場合だ。たとえば、生成・分類・レビューが別々のスクリプトに分かれていて、共通の禁止事項や評価軸を維持したいケースである。各処理に基準をコピーするより、正本と配布経路を明確にしたほうが変更の影響を追いやすい。
逆に、処理ごとに本当に異なる基準が必要なら、何でも一つの憲章へ押し込むと例外だらけになる。共通方針と個別要件を分け、どちらが優先されるかを明示する必要がある。また、憲章ファイルの変更は複数処理へ一度に影響するため、変更後の確認範囲も広くなる。集中管理は変更を簡単にする一方で、誤った変更の影響範囲を大きくする。
今回の実装では、判断軸を個別プロンプトの文言から切り離し、憲章を読み込む経路と判定側の原則をコード上で追えるようにした。運用ルールを増やすときは、コピー先を増やす前に、正本と参照経路を確認する。プロンプトの数が増えるほど、この小さな整理が後の修正漏れを防ぐ。
環境・参照
生成側と判定側の2つの実装を確認した。この記事はその構造を説明するもので、モデルの精度向上や特定の政治的立場への効果を主張するものではない。
更新履歴
- 2026-10-19: 初稿作成。