外部監査役に判定はさせない — Antigravity CLIをレビュー担当に据えた公開前チェックの設計

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外部監査役に判定はさせない — Antigravity CLIをレビュー担当に据えた公開前チェックの設計

この記事について

公開前レビューを、記事を実装したAI自身にやらせると、自分の書いた文章を自分でチェックする構図になる。見落としは見落としのまま素通りしやすい。そこで別のCLIツール(Antigravity CLI、略称agy)を「読者目線の外部監査役」として記事を読ませ、指摘の採否だけは実装側のAI(Claude Code)が判定する、という二段構えのレビューループを組んだ。この記事はその役割分担と、運用で踏んだ癖の記録である。

役割分担

外部監査役と判定役を同一にしない、というのがこの設計の核になる。

役割担当やること
外部監査役(読者目線)Antigravity CLI(agy)記事を読み、事実関係の怪しさ・論理の飛躍・実名や内部情報の漏れ・読みにくさを指摘する
判定役Claude Code指摘を原文と突き合わせ、真偽・採否を判断してから安全な範囲だけ自分で直す

外部監査役への指示は次の4観点で固定している。

  1. 事実関係が怪しい・検証不能な記述
  2. 論理の飛躍・誇張
  3. 実名/内部情報/秘密情報らしき漏れ
  4. 読者として引っかかる読みにくさ

各指摘には確信度(高/中/低)と1行の修正案を添えさせ、問題なしの観点は「問題なし」と明記させる。

判定できる範囲を4類型に絞った

外部監査役の指摘は玉石混交で、ハルシネーション込みという前提を崩さない。指摘を鵜呑みにせず、必ず判定役が原文と突き合わせてから直す。判定役が自分で直してよい範囲もあらかじめ4類型に絞ってある。

#類型内容
誤字脱字明白な誤字脱字・文法崩れ
断定の緩和事実として言い過ぎな断定を弱める、または数値・固有名詞の捏造が疑われる文を削除
情報漏れの除去実ハンドル・内部情報・認証情報の漏れを取り除く
表記の不整合記事内の他の記述だけで正解が一意に決まる数値・表記の不整合(外部ソース確認が要るものは対象外)

構成変更・段落追加・大幅リライト・記事の差し止めはこの範囲に含めない。それに相当する指摘は「人間判断待ち」として記録に残すだけで、判定役は手を出さない。公開状態(drafts/ready/drafts/deploy/ の間の移動、frontmatterのstatus)も一切触らない。

代理レビュー禁止という一文

このループの設計で一番大事なのは、機能追加ではなく禁止事項にある。

Antigravity CLIが実行できない場合(権限拒否・コマンド不在・認証切れ)、判定役が代理でレビューしてはいけない。

このループの目的は「別の目」による観察であって、判定役自身のレビュー能力を測るものではない。外部監査役が動かせないなら、その回は「外部の目なし」とそのまま報告して終了する。判定役が自分のレビューで穴埋めしてしまうと、監査という行為の意味そのものが消える。これは効率化のためのショートカットに見えて、実際には監査の実効性を壊す近道になる。

既知の癖への対処

Antigravity CLIは非対話(非TTY)実行だと最終出力を落とすことがある。標準出力が空だった場合は、疑似端末を強制的に割り当てるコマンド(script -q /dev/null 経由)で1回だけ再試行する。それでも空なら、その記事は「応答なし」として記録し、次の記事へ進む。長考・ハングは10分でタイムアウトし、2記事連続で応答なしなら残りをスキップして不調をまとめて報告する。

対象の抽出は git hash-object によるハッシュ照合で行い、既にレビュー済みのファイル(ハッシュ一致)は除外する。対象が0件の日は、通知も含めて完全に何もしない。

運用実績

毎晩21:55ごろ、常駐サーバ上でこのループが走る。対象は未公開ドラフト(drafts/ready/drafts/deploy/)で、修正が1件でもあれば専用の一時ワークツリーでコミットし、下書き限定の変更であることを理由に人の承認なしでPRを作成・即マージする。判定結果(指摘ごとの採用/棄却/人間判断待ちと理由)は、外部監査役の生レビューと一緒にログとして残す。要約せず原文のまま保存しているのは、判定の精度そのものを後から検証できるようにするためだ。

限界

  • 高確信度の指摘であっても、4類型の外にあるものは判定役が直接直せない。溜まった「人間判断待ち」は誰かが読むまで解消しない
  • 外部監査役自体がハルシネーションを含む前提のツールであるため、判定役の判定能力に品質が依存する。判定役の目が甘ければ、誤った指摘を採用してしまうリスクは残る
  • 非TTY出力落ちのような実装依存の癖は、CLI側のアップデートで挙動が変わる可能性がある

更新履歴

  • 2026-08-02: 初稿公開