試験直前までツールを進化させ続けた話 — AIと作る「不満を言うと数分で直る」学習ドリル

試験直前までツールを進化させ続けた話 — AIと作る「不満を言うと数分で直る」学習ドリル

この記事について

資格試験の勉強のために自作した学習ドリルを、試験の直前までAIと一緒に改良し続けた記録だ。

対象はAWSのセキュリティ専門資格。使っていた既存の問題演習サービスは「周回して数をこなす」設計で、間違えた問題だけを繰り返す弱点抽出の仕組みが無かった。周回のたびに得意な問題まで律儀に出てきて、時間が溶ける。ならば足りない部分だけ自分で作ればいい、というのが出発点だ。

試した環境

  • 単一のHTMLファイル1枚(quiz.html
  • サーバー不要。file:// で開くだけで動く
  • 成績とセッション履歴は localStorage に保存
  • 実装・改良はClaude Codeとの対話で実施

なぜ「単一HTML・サーバーなし」にしたか

試験直前にサーバーを立てて、DBを用意して、デプロイして……とやっている暇はない。学習ツールに求めるのは「起動が速いこと」と「壊れないこと」だけだ。だからアーキテクチャは徹底的に削った。

  • バックエンドなし: 問題データもロジックも1ファイルに同梱。ダブルクリックで起動
  • localStorageだけ: 正答率・苦手フラグ・セッション履歴を全部ブラウザに保存。ログインもアカウントもいらない
  • オフラインで完結: ネットが無い移動中でも回せる

「あとで公開するかも」を考えて汎用化に走ると、目の前の試験に間に合わない。まず自分1人が明日使える最小の形にする、という判断だ。

「不満を言うと数分で戻ってくる」開発体験

このツールの一番おもしろかったところは、使いながら感じた不満をそのままAIに投げると、数分後に直った版が返ってくることだった。従来なら「気になるけど、直すコストのほうが高いから我慢する」で終わっていた小さな摩擦が、片っ端から潰せる。

実際に、使っている最中の不満から生まれた機能がこれだ。

使っていて感じた不満生まれた機能
間違えた問題をもう一度探すのが面倒不正解で自動的に付く「スティッキー苦手」フラグ。正解しても勝手には消えず、自分で「克服」ボタンを押すまで残る
マウスに手を伸ばすのが遅いキーボードだけで完結する操作系
伸びているのか分からず不安正答率と苦手数の推移をSVGグラフで可視化
あとで振り返りたい成績のCSV出力

キーボード操作はこう割り当てた。手をホームポジションから動かさずに1問を回せる。

1-9  : 選択肢を選ぶ(単一/複数選択は自動判定)
Enter: 採点 → 次の問題へ
M    : 採点後、その問題を「苦手」から卒業させる

ポイントは「正解しても苦手フラグは自動で消えない」ことだ。1回まぐれで当たっただけかもしれない問題を、システムが勝手に「克服した」と判定してしまうと、本当は身についていない知識を見逃す。だから卒業は手動の M に握らせた。この「測定を甘くしない」という判断は、それ自体が別記事になるくらい大事なテーマなので、また改めて書く。

やってみてわかったこと

  • 完璧なツールより、明日使える最小のツール。汎用化は試験が終わってからでいい
  • 小さな不満を我慢しなくてよくなるとツールは指数的に手に馴染む。AIとの対話開発の本質はここにある
  • 自分の学習データを自分で持つと、勉強法そのものをデータで検証できるようになる(毎日まず苦手モードから始めて、5周で仕上げる、という自分のやり方が実際に機能しているかを後から見返せる)

道具は使いながら育てるものだ、というのを試験勉強という締め切りの中で身体で覚えた回だった。

更新履歴

  • 2026-07-05: 初稿